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「ほぇー… 颯太か。ふぅん。」
「…」
拗ねたかのような表情でまた黙り込む。
「そういや、颯太って誰かに似てんのよね」
「…」
「誰だったかなー。私の好きな人かなー?」
「なにそれ。聞きたくない」
「まぁ、そう、拗ねんなって! 元気出せよ! な?」
私はそう言いながら颯太の背中を叩いた。
その瞬間颯太がこちらをキッっと睨む。
颯太はそしてこう言った。
「美紀はこんな男口調じゃなかった… 美紀はもっと元気で素直で口癖がかわ…」
「なにそれ。それ、絶対私じゃない。元気なのはともかく素直とか絶対に有り得ないから。誰かと間違えてんじゃないの?」
「足に傷あるくせに。」
「は?」
「右足の太ももに十字傷あるだろ?それ、俺が付けてやった」
「は? え、嘘!?」
そう言って太ももを見てみると…
あった。確かに。
薄く小さくはなっていたが確かにあった。
「え、なにこれ… お前最低だな」
「…。そうだよ、俺が…いや、ほら、間違えてないだろ。」
私にはこいつの考えている事、思っている事が理解できない。解せない。
「あんたも結局アイツと同じなんだわ。そうだよ、あんたアイツに超そっくりじゃん。今気づいたし。また私を不幸にする気か。それじゃ、さよならだ。バイバイ。」
私はそう一方的に思った事を吐いて教室を出た。
「どういう事だよ、それ…」
颯太はそう言って出ていく私を見えなくなるまで見ていた。
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