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2032年6月1日・龍虎町・青龍高校職員室。
俺・高橋 広地(たかはし こうち)は、自分がヘッドロックという技をいかに舐めていたかを思い知らされていた。
「痛たたたた!! せ、先生、痛いいいい!! 痛いってええええ!! 頭から何か出る、出る、出るからああああ!!」
丸太と言っても過言ではない太さを持つ腕は、頭蓋骨を粉砕する勢いで俺の頭を締め上げていた。
俺の頭を締め上げているのは、熊頭 ひろし。俺達のクラスの担任である。
締め上げている、とだけ表現すると大したことが無いように思えるが――ひろしの筋力は、半端ではない。漫画ならきっと、「みしみし」という効果音が付いていただろう。
「痛くない体罰などあると思っているのかあ、この馬鹿者がああああ!!」
あまたの不良を黙らせて来たのであろう、野獣のような野太い声が俺の鼓膜を直撃。それで力んでしまったのか、更なる力がその腕にかかり、締め上げる。
「痛だだだだだだあああ!! タ、タオルタオル!! ギブアップーーー!!」
「俺にギブアップなど通用するかああああ!!」
ノリの良い先生達に投げられたタオルとひろしの腕に包まれた頭の中に映し出されていたのは――走馬灯ではなく、一人の男の顔。
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