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黒板と向き合い、白いチョークで少し癖のある字を書く後ろ姿を見つめる
書き終えた体が振り返る
今日もキチンとネクタイを絞めて、背広を羽織っている姿に、暑くないのかな?と授業とは全く関係の無い疑問が浮かぶ
教科書の英文を読む声は好きだけど、英語は大っ嫌い
何を言っているのかさっぱり解らないから、眠くなる
声は聞いていたいけど、
奏でられる言葉は子守歌
眠………
「葉月、起きなさい」
大好きな声に呼ばれれば、簡単に目が覚めてしまうのだからこの声を目覚まし時計に録音したいと本気で思ってしまう
顔を上げれば、困ったように笑う先生が隣に立って私を見下ろしていた
「起きてましたよ」
バツが悪くてそう言い返せば、返された苦笑い
「……すみません、先生の子守歌には勝てませんでした」
素直に謝罪すれば、やっぱり返ってきたのは苦笑い
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