思い出

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家に帰ると夜だった。 なんて遠いのだろう。 来週もまたあそこに行かなければならない。 その為に毎日食事をし、睡眠をとり、体力を付けているようなものだった。 デザートに枇杷を食べた。 ふくよかな甘さが脳に達すると、それは私の記憶の蓋を開けた。 昔…私はよく山で遊ぶ子供だった。 山には学校もあったし、祖父母の営む蜜柑畑もある。 学校帰り私は蜜柑畑へ直行し、教科書の入った袋を祖父の軽トラに放り込むと一人で探検をした。 偶然見付けた野性の枇杷を食べながら、のどかに広がる村を眺めるのが好きだった。 私は懐かしいその味を 隅々まで味わった。
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