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「またアルバムなんて眺めてるのか?」
背後から抱かれる感触に私は目を閉じて微笑む。
今でも夢かと疑ってしまうの。
こんな日が来る事を信じていたのに、私……馬鹿かな?
「馬鹿じゃねぇ……お前は何時だって俺のブタ野郎だよ」
恥ずかしそうに火に焼けた鼻先を掻く彼に愛おしさがこみ上げてくる。
「待つのは辛くなかったか?」
それは私にとって質問にもならない問いかけ。
辛かったかも知れないけど、今は幸せ。
それでいいじゃない。
そう、それで良かった。
彼を想って泣いた夜があった。
お腹を鳴らした日も数え切れない。
だけど不幸だと思った日は一度もなかった。
「ありがとう……貴方に会えて、幸せにしてくれて、ありがとう」
「ふん、ブタ野郎が……礼を言うのはまだ早ぇよ。 これからもっと幸せにしてやるんだからな」
そう言って恥ずかしそうに笑む彼は出会った頃みたいに薄紅色に染まっていた。
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