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あれから二週間が経った。先輩からは何もない。
あと一週間待っても何もなければまたあのコンビニに行ってみようと思った。
姿を見れるだけでもいい。
いつのまにかまた先輩の名前をノートに書いていた。
文字をなぞっていると、先生の怒声が響いて驚いた。
「おい塚本!帰る準備早いだろ!」
「すいません!でもここからが本番なんです!」
もう二週間くらいこんな状態だ。
塚本は最後の授業終了5分前になると決まってせっせと帰り支度をする。
沢木先輩に会いたくないからだ。
朝校門から教室までついてこられ、昼休みに顔を出され、放課後は本格的に追い回される。
鐘とともに全速力で逃げる様は、俺だけでなくクラスメイトの同情を買うほどだった。
今日も鐘が鳴ったと同時に席を立ち教室を出る。
「じゃあな結人!」
「気をつけて!」
ガラッと教室の引き戸を開けると、沢木先輩は既にいた。
「ぁああー!マジうぜぇ!!」
塚本もそろそろ限界が来ているようで、最近では沢木先輩に対して暴言が出てくるようになった。
今日も塚本は大変だ…。
塚本と、塚本の後を追う沢木先輩を校庭に見ながら、俺も帰る準備をする。
教室を出て廊下を歩いているとき、携帯が震えた。
メールだと思い、放っておくとやけに長く震えている。もしかして塚本かと思い、確認した。
…
え…嘘…
震える指で通話ボタンを押した。
「次から10秒以内に出ないと別れる」
紛れもない先輩の声。
「は…い。分かりました」
そう言うと、先輩は突然突拍子もないことを言い出す。
「今から家に来い」
そう言うとブツっと切れてしまった。
先輩、聞きたいことがあります。あなたのお家はどこですか。
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