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あれから数日後、白光先輩にお願いしたことが沢木先輩に伝わったようで、沢木先輩は教室に来るなり「交換条件」を塚本に出してきた。 「放課後のストーキング、10分間限定にする。その代わり今日から名前で呼ぶこと」 「…いきなり何言ってるんですか?というか10分だって嫌です」 「それは認めない」 沢木先輩のどこか威圧的な言い方に怯んだ塚本は、交換条件を飲んだ。 そして沢木先輩は、紙粘土で出来た花を塚本に渡すと教室から出ていった。 片手に花を持ったまま机をバンッと叩く塚本。 「大丈夫…?」 「10分だって嫌なもんは嫌だ…けど、家帰るまでずっとよりはマシ?つかなんでこんなに悩まなきゃなんないの!?」 「放課後ずっとって…ほんとにずっとなの?バイト中は?」 「終わるまで客として居座ってる。名前なんか呼ばないぞ…まず呼ばなきゃなんない事態に遭遇しないだろうし」 昼休み。 沢木先輩は当然のように教室に入ってくる。もう回りもそれを気にしていない。 塚本の前の席の椅子をぐるっと回転させたあと座ると、そのまま塚本を真っ直ぐ見つめる。 塚本はそんな事態に遭遇しないと言っていたけど、沢木先輩は手強かった。 「今、君の目の前にいるの誰?」 塚本は顔を横に向けてわざと目を合わせないようにしている。 「放課後10分間、君は誰に追われるの?」 「マジでうざ…」 その後も、沢木先輩は塚本に名前を呼ばせようと、答えが必ず自分になる質問を繰り返していた。 塚本は今日も大変だ。
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