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「もう何ですか!?ほんと迷惑です!いい加減にっ…は?なんでですか?」 腑に落ちない顔をして耳から携帯を離した塚本は、携帯を手で覆い言ってきた。 「結人と話がしたいから出てきてほしいって」 「俺?なんで…」 断るからと言って携帯を耳に近づける塚本を制止した。 「行ってくるよ。目的達成したら帰るかもしれないよ?」 そう言いながら立ち上がると、塚本が真剣な顔で何か武器を持っていけと言うものだから、少し笑ってしまった。 階段を降りてドアを開け外に出ると、沢木先輩がこちらにやってきた。 「ストーカー辻、提案がある」 「提案?」 「俺あのこのこと何も知らない、だから知りたい」 どうしてだかを聞こうと口を開いたけれど、すぐに先輩の次の言葉に制止される。 「あのこのことは知らないけど、千秋のことなら何でも知ってる」 つまり…白光先輩のこと教える代わりに塚本のことを教えろということか…。 「悪い話じゃないと思う」 「いや、でもそれは…」 「携帯を速やかに出して」 先輩の有無を言わさぬ発言と、威圧感に圧され従うしかなかった。 番号の交換が終わると、先輩は躊躇うことなく雨の中を歩いていってしまう。 その時、後ろのドアが少しだけ開き、中から塚本が先輩を呼んだ。 「ち、ちょっと待て!」 足を止めた沢木先輩は振り返り、少し開いたドアから覗く塚本をじっと見ている。 「結人…結人!」 小さな声でこそこそと呼ばれたので振り向くと、開いた隙間からタオルと傘を渡された。 「ごめん、渡して…」 受け取るとすぐにドアが閉まった。 タオルと傘を渡すと、先輩は二階の塚本の部屋の窓を見上げた。 「背景がさ、花なんだ。満開の」 そう言うと、先輩は傘をさして帰っていった。
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