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次の日、廊下を歩いていると昨日白光先輩からの手紙を届けてくれた先輩とすれ違った。
教室の引き戸をあけると塚本が機嫌の悪そうな顔をしながらズンズンこっちに向かって歩いてくる。
「どうかした…?」
「どうもこうも!校門の前に昨日の先輩がいて!ずっと教室までついてきたんだ!」
だからさっき1年の階ですれ違ったのか。
教室までついてきたあの先輩はいきなり塚本の携帯を取り上げ、勝手に赤外線で番号を交換したらしい。
そして携帯を返すと、塚本の頭に紙粘土で出来た…何故かティアラを乗せて去っていったのだ。
「絶対白光先輩が絡んでる!お前のせいだ!」
ティアラをゴミ箱に放り投げると、塚本はすぐに真面目な顔をして確認してきた。
「ワンギリしてないよな?」
「した…」
「何してるんだよ!遊ばれてるだけだって!」
分かってる。
だけど先輩との繋がりが断たれるのは嫌だ。
…
6時にワンギリ…実は手が滑り携帯を落としてしまって、拾い上げたときにはたぶんツーコールはしていたと思う。
その後先輩からは何の連絡もない。
期待はしていなかったけれど、やっぱり聞きたかった…先輩の声。
先輩…。白光千秋。
ノートに先輩の名前を書いて、その文字を指でなぞる。先輩のことを考えるときに必ずやってしまうようになっていた。
昼休み、塚本と昼を一緒に食べていると、クラスメイトに塚本が呼ばれた。
塚本を呼ぶよう言われたのだそうだ。
教室の外で待つ人物を見ると塚本は固まった。
「げっ沢木…」
あの人沢木さんていうのか。
あからさまに嫌そうな顔をする塚本は先輩を無視して食べ続けた。
いくら待っても席を立たない塚本の所に、沢木先輩は真っ直ぐ向かって来た。
「初めて見たときからだけど、君なんで花しょってるの」
塚本は先輩を無視して食べ続ける。
「君の背景、いつも花」
先輩の質問に答えることなく食べ終わった塚本はさっさと後片付けをして教室を出ていってしまう。
そんな塚本を見てもめげずに後を追う沢木先輩を見ると、ある意味尊敬してしまう。
沢木先輩て何者だろう。
なんで塚本を追いかけるんだろう。やっぱり白光先輩が絡んでるのかな。
だとしたら塚本の言う通り、自分のせいでもあるんだろう。
塚本に悪いと思った。
…
「はー…」
出てくるのは溜め息ばかり。
先輩、今日は何してますか。連絡待ってます。
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