第四章:エンディコットの鐘

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土下座する大将軍に仁王立ちの黒の魔女。 絶世の美女が本気で怒ると、鬼より怖かった。 「憲兵隊から州軍に、正式に今件に関する現物と情報の開示を命令した方が良い? 通報義務違反の罪状付きで。(ニコニコッ) 魔王陛下に処罰していただくには、充分な背任行為だわ?(ニコッ) それとも、今のうちに私に開示する? 今なら、憲兵隊への多大な捜査協力として、州軍がとても活躍してくれた…って私から陛下と憲兵隊長にご報告するわ?(ニコッ) ──どっちが…良い?(雷ニコッ)」 「∑∑今すぐ開示しますっ!!!(号泣)」 ■金平透(コンペイトウ) 砂糖菓子の金平糖と非常によく似た新種の麻薬。 味も形も金平糖とほとんど変わらない。 魔族が服用すると、髪が艶やかになり、肌も透き通るようにキメ細やかになって容姿が美しくなる。 魔力が充実したと錯覚し、魔族に恍惚感を覚えさせる。 習慣性が強く、服用を続けて中毒になると本当に全身が透けてきてしまう。 完全に透明になると、存在自体が魂レベルで完全に消滅してしまう。 主要原料は、神界でのみ採れる女神花の蜜。 サキの目が鋭くなる。 「──神族が…関与…?」 ジンも渋い顔で返す。 「ヤバいわよ…?この麻薬。 神界にとっちゃ、光と影みたいに魔界が無くちゃ存在できない仕組みになってるけど…。 だからって魔界があんまり栄えても困るから、大昔から散々ぱら嫌がらせされてきたじゃない? 神界にとっちゃ、魔界は弱々しく存在してもらうのが一番理想的…。 だから、生かさず殺さず締め付けてくんのよ。 でも、魔界が五つの州の合衆国になって、かつてない史上空前の安定と繁栄を築いている…。 ──これ、大袈裟にしたら国際問題…もしくは神魔世界大戦の引き金にもなるわよ…?」
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