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話を聞いていたトックンが、カゲトミを見上げて言った。
「トックンは、この件に関してはサキ憲兵長の部下の憲兵だ。
早く解決させたい。
カゲトミも、カイくんと共に手伝ってはくれないか?」
「はぁ…。
やぶさかではありませんが…。
公爵魔族でいらっしゃるカイさまならともかく、ボクなんかでお役に立てるか…」
「ハッキリ言って、今の状況で本当に自由に動けるのは、ガンとカゲトミだけだ」
「──と、仰有いますと…?」
「ここに居る七人の中で、五人は子爵夫妻と面識が有る。
旅芸人に扮していても、顔を見られたら一発でバレる。
ガンは記憶喪失が逆に功を成して、子爵城使用人にまでビックリするほどよく潜入できた。
あと、唯一子爵夫妻と面識の無いカゲトミは、とても存在価値が有る」
「まぁ…。
ボクに出来ることはいたしますが…。
ただ、今ごろヘルブリュン宮城は…きっとエライ騒ぎになっているのではないかと…」
「なら、洒落斎なら半刻とかからずにヘルブリュン宮城まで飛んでいける。
洒落斎。
カゲトミとカイくんをヘルブリュン宮城まで送ってやれ」
「御意」
「あと、これは憲兵というよりは、トックンからのお願いだ。
カイくんは至急、外務卿でもあるアヤ王妃さまに内密にお知らせするのだ。
大きな国際問題にも発展しかねない重大事になった。
それが済んだら、蛾の姿にでもなって、また密かに戻ってきて欲しい。
あと、カゲトミには…──」
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