第四章:エンディコットの鐘

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「明後日…。 ついに…このエンディコットの鐘の移設が始まるの…」 ペロが少しションボリしながら鐘をピカピカに磨いていく。 「ヤス魔王陛下の御生誕祭がもう数日後…。 ギリギリまでこの城に置いておいてくださったのは…、両陛下と旦那さまからの…奥さまへのせめてもの気遣いなのかもね…」 「魔王陛下の御生誕祭かぁ…」 ガンまで寂しそうにするから、ペロがテへ☆と笑って気を取り直す。 「第四王州のクリスマスよ☆ お祝いしなきゃ♪ だから、この鐘をピッカピカにして送り出してあげて、州都の人たちを驚かせてあげなきゃ!」 魔界のクリスマスは、人間界のクリスマスとは違う。 神様のお誕生日をお祝いする魔族など居ない。 ただ、人間社会で行われているクリスマスというものを面白そうだと思った魔族たち。 大魔王と大王妃の間に生まれた五人の魔王たち。 三人の王子と二人の王女。 今ではそれぞれが王州を持ち、君臨している兄弟姉妹たち。 その五人の魔王たちの誕生日には、大魔王と大王妃が祝いに訪れる。 だから魔界では、その魔王誕生日を王州のクリスマスとする事にした。 なので、王州によってクリスマスの日にちが違う。 つまり、魔界全体から見ると、魔界には年に五回もクリスマスが有る。 いちいち全部に参加するのは大魔王と大王妃ぐらいだ。 それぞれの王州にとっては、自分の王州魔王のクリスマスを盛大に祝う。 「そっか…! 大魔王さまと大王妃さまにもお披露目するんだもんな! エンディコットの鐘にとっちゃ、こりゃ大出世だなっ☆」 ガンも気持ちを切り替えて、カラッと明るく笑ってペロに返した。
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