第四章:エンディコットの鐘

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そこで、カゲトミ…じゃなくて偽ロイは一夜漬けでカイに教え込まれた知識を思い出しながら返す。 「転生魔族で、まだクラスが定まっておりません。 ですから、まだ一族として判断ができないのです。 まずは、属性と…特にクラスが定まらなくては…。 もしくは、グランドスラム。 それが判らないうちは、判断のしようが有りません」 「そうですか…」 モスラ公爵家の純血貴族一等の血筋を守るには、当主配偶者は最上級クラスかグランドスラムでなくてはならない。 転生魔族が最上級クラスになれるのは、大アルカナクラスか小アルカナクラスだけ。 たまたま偶然、トックンを兄に持つカゲトミは元・腐男子だったので、神の与えた力を目当てにジンに引き寄せられた。 カゲトミの周囲には大アルカナが二人も居るが、はっきり言ってレアケースだ。 22の大アルカナ。 その中で、現在覚醒しているのは16。 6の大アルカナは時空の揺りカゴで休眠している。 現状、大アルカナは綺麗に五州に三人ずつ。 ゼロの寓位、愚者の寓号を持つ大怪盗貴族のユタピョンだけが無国籍。 各州共に、まず魔王は大アルカナ。 属性:魔王族 クラス:大アルカナ魔王 魔王族の持つ最高位の血の魔力。 それに匹敵する大アルカナの個の魔力。 その二つが融合した、玉座を許される唯一のクラス。 魔界に於いては、もう神だ。 いや、魔神だ。 その五人の魔王の下には、現在それぞれ各王州に二人ずつしか大アルカナが居ない。 三千万人に及ぶ人口を誇る第四王州に於いては、第六寓位で寓号は“岐路”と呼ばれるジンと、第十三寓位で寓号は“淘汰”のトックンしか居ない。 三千万人に対して、三人。 つまり、一千万人に対して一人。 百人や千人や一万人に一人ではなく、一千万人に一人の割合でしか現れない大アルカナ。 小アルカナは56。 単純に大アルカナの約2,5倍の数。 それでも、四百万人に一人の割合…。 ここに来てカゲトミまでアルス・マグナの異能を発現するとは…、どっかの携帯小説とかの主人公でない限りは…ちょっと激レア過ぎる。 「ただ、グランドスラムにはもう一歩な転生魔族のようです」 偽ロイのカゲトミが言うと、エレノアが少し驚く。 「転生魔族でグランドスラムなど…。 不可能ではございませんか…?」
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