第2話

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声のするほうへと顔を向けた。 誰か立っているのは分かったが顔は見えない。 近づいてくる人物を見据えながら傍らの刀と着物を抱きしめる。 「女か…?」 近づくにつれて月明かりのせいか顔が見えてくる。 想像した通り40歳は超えているであろう男の人。 それでもかっこよさが伺える。 「誰…ですか?」 私はそっとその人物に問いかけた。 「儂か?…芹沢鴨」 せりざわかも? この男はそう言ったのか? こんな運命がどこにあろうか…。 私の身体は歓喜に震えた。 「私は天野 美弥(アマノ ミヤ)です。…芹沢様、後生です…どうか、どうか…私を貴方の元に置いてくれませんか」 私は刀を抱きしめ縋るように芹沢さんを見た。 芹沢さんは何故だか面白そうに私を見る。 「くくっ…良い目だ。いいだろう、連れて行ってやる。丁度お梅の話し相手が欲しかったところだ」
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