プロローグ~陽菜乃目線~

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「夏休みの間にこっちに越して来たのかぁ??」 「はい。 夏休みの間はほとんど向こうでしたけど。 引っ越しも先週終わらせたばかりなんです」 「先週かぁ。 バタバタだな… そりゃーなにかと大変だったろ! …特に気持ちの整理とか…な?」 先生はそう言うと優しく微笑む 「えっ?」 自分の気持ちを見透かされたようであたしは驚きを隠せなかった 「図星だろ。 まぁ、今さら転校なんかしたくねぇよなぁ。 気持ちの整理がつかないのも無理ねぇよ」 「な…なんでそう思ったんですか?」 「教師だから」 そう言うと先生は意地悪な微笑みを向ける 「なんてな! 空見ながらため息つかれたらさすがにわかるよ。 でも安心していいぞ!! お前の新しいクラスはみんないい奴ばっかりだからな」 そう言って今度は子供のように笑う 「遅くなったが俺が担任の藤木透だ。 お前の新しいクラスは5組。 今日からよろしくなっ!陽菜乃!」 と先程とは違いキリッとした大人の表情であたしに右手を差し出す ころころ変わる先生の表情に戸惑いながらも少しだけ気持ちが軽くなったあたしは藤木先生と握手をすませた
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