武の神

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「それは詭弁だ。結局俺の力は奴に及ばなかった。力の伴わない信念を武と呼ぶなら俺は神、お前を武の神とは認めない」 「それでこそだよ。神をも否定するその信念を求めていた。それに炎使いの彼なら死んだよ」 「死んだ?」 「ああ、血を流しすぎたようだ。人間の身体は脆いね。身体を持たない私にはわからんよ」 待て。じゃあお前は、目の前の髭老人は何なんだ。 「お前は・・・」 「私かい?君が見ているのは君の中にある武の姿だよ。私が何に見える?」 そういうことか。 「髭を生やした老人だ。瞳には老いを感じないがな」
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