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「綾音ちゃん、鬱憤でも溜まってたの?」
「うるさい、黙れ。あと私を『綾音ちゃん』と呼ぶな」
丸山が凄まじい目つきで圭吾を睨み付ける。
それほどまでにイラつくことが過去にあったのか、もはや彼女の目つきは女子高生のするものではない。
「次、私を名前で呼んだら殺すから」
「さ、サーセンっしたあああああ!!?」
片や冗談抜きで人を殺しそうな目つきをした女。
片や昼休みでありながらも教室で本気の土下座をする男。
二人が周囲をあまり気にしない分、間に挟まれた直哉が最も恥ずかしかったのは言うまでもない。
「―――話を戻すぞ」
「お、おう」
「…ふん」
周囲からの視線が非常に痛いが、直哉はこの際無視を決め込むことにした。
再び一つの机に三人が向かい合って座る。
「そもそも、圭吾がこんな物を持ってくるのが悪い」
「私も同感」
「そ、そんなぁ~!?」
要するに話題の原因はその一点に尽きる。
圭吾の馬鹿が『クラスメイト二人を題材にしたエロ漫画』なんて持ってきたのが悪い。
「俺を題材にするのも許せんが、それよりも櫻井さんに悪いだろ」
「そうよ。アンタ、これじゃただの変態よ」
「うぐっ!?」
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