第一話

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「綾音ちゃん、鬱憤でも溜まってたの?」 「うるさい、黙れ。あと私を『綾音ちゃん』と呼ぶな」 丸山が凄まじい目つきで圭吾を睨み付ける。 それほどまでにイラつくことが過去にあったのか、もはや彼女の目つきは女子高生のするものではない。 「次、私を名前で呼んだら殺すから」 「さ、サーセンっしたあああああ!!?」 片や冗談抜きで人を殺しそうな目つきをした女。 片や昼休みでありながらも教室で本気の土下座をする男。 二人が周囲をあまり気にしない分、間に挟まれた直哉が最も恥ずかしかったのは言うまでもない。 「―――話を戻すぞ」 「お、おう」 「…ふん」 周囲からの視線が非常に痛いが、直哉はこの際無視を決め込むことにした。 再び一つの机に三人が向かい合って座る。 「そもそも、圭吾がこんな物を持ってくるのが悪い」 「私も同感」 「そ、そんなぁ~!?」 要するに話題の原因はその一点に尽きる。 圭吾の馬鹿が『クラスメイト二人を題材にしたエロ漫画』なんて持ってきたのが悪い。 「俺を題材にするのも許せんが、それよりも櫻井さんに悪いだろ」 「そうよ。アンタ、これじゃただの変態よ」 「うぐっ!?」
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