1人が本棚に入れています
本棚に追加
二人の言葉に圭吾は胸を押さえて体を曲げる。
「アンタが馬鹿だっていうことは分かってたけど、まさかここまで救いようがないとは思わなかったわ」
完全に相手を見下した言い方をする丸山だが、相手が圭吾だというだけでまるで違和感がない。
構図としては女王様と下僕のようにも見える。
「さ、流石、中間学年一位の優等生様は言葉の重みが違うなぁー……」
「お褒めの言葉ありがとう、中間学年二位さん」
「ぐはあっ!?」
そして再び圭吾は誤爆する。
自ら藪をつついては蛇に噛まれるという荒業を平然とやってのける圭吾。
つい先日行われた高校入学後初めてのテストで丸山に僅か一点差での敗北を喫した圭吾は、以来、丸山からその話題をネタにされている。
「そんなに落ち込むなよ、圭吾。俺なんか二桁に入るのがやっとだ」
机の上に沈んだ圭吾の肩を直哉が軽く叩く。
すると体勢はそのままに、圭吾は顔だけを直哉に向けた。
「…直哉にはこの悔しさは分からないよ」
「そりゃあ、な。大体、五教科科合計498点なんていう奴に勝とうと思ったことすら俺はない」
丸山が間違えたのは五教科中、数学の計算間違いによる一問のみ。
そんな奴に勝てるわけがない。
最初のコメントを投稿しよう!