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「それはアンタが本気でやってないからでしょ」
「そんなことはない。俺だって前日には徹夜でテスト勉強してる」
「普段から真面目に授業を受けてればテスト前に焦って勉強しなくてもいいのよ」
胸を張る丸山の言葉は正に優等生の台詞。
他の生徒たちがやろうと思っても欲望に邪魔されて出来ないことを普通に顔色ひとつ変えずにやってしまう。
これが学年一位と二桁に届くのがやっとな奴の違い。
やるせなさに直哉の口から思わずため息がもれた。
「綾音ちゃ―――こほん。丸山さんのそういう全力なところっていいよね」
「…なにが?」
圭吾の褒め言葉に、丸山は露骨なまでに顔を歪めて応える。
「ほら、頑張ってる女の子ってなんだか応援したくなるからさ」
「…なにかしら、この不快感。本当なら嬉しいのに、アンタに言われてるってだけですべてが残念な感じになってるわ」
「ええっ!?綾音ちゃんの中での俺の扱いって、そこまで酷いんですか!?」
「―――だから私を名前で呼ぶんじゃない!!」
「ぐはあっ!?」
もはや何度目になるのか、二人は飽きもせずに同じやり取りを繰り返す。
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