第一話

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「や、め、な、さ、い!この馬鹿娘!!」 「ぐっ!?」 振り向きながら放たれた強烈な丸山のエルボーが背後にいた少女の腹に炸裂する。 腹に手を当てながら悶絶する少女。 しかし丸山の反撃に容赦の二文字は存在しなかった。 「…死ね!」 「ちょっ!?それは流石にやり過ぎじゃないかなぁ…っ!?」 振り返ると同時に握られた拳が再び少女の腹に向かう。 しかし今回は少女の反応も速かった。 立ち上がり、軸足となる左足で思いきり地を蹴る。 後ろに下がった距離は少女の歩数にして約三歩。 それでも丸山のストレートを避けるには十分な距離だった。 「…ちっ。アンタ、本当に面倒くさいわ―――圭吾の次に」 「えぇっ!?何もしてないのに巻き込まれた!?」 「あはは。圭吾の次ならよしとしようかなー」 明るく笑う少女に、丸山は頭を押さえてため息をついた。 からからと表情を緩める少女は丸山の親友であり、また同時に、直哉や圭吾にとっても親しくしている友人の一人でもある。 腰まで伸ばした黒髪を後ろで一つに纏めた活発な少女は、窓から差し込む太陽の光を浴びて向日葵のように笑う。
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