1人が本棚に入れています
本棚に追加
背筋をゾクゾクとした感覚が通り抜ける。
相手が美月であれ、また他の誰であれ、女にこれだけのことをされれば否応なく反応してしまうのが男の性。
「よくねーよ。いいからとっとと放せ」
「嫌」
手錠で繋がれた手を美月の目の前に持っていく。
兎にも角にもこの束縛から解放してもらわなければ話は前に進まない。
しかし美月から返ってきた言葉はただ一言。簡潔な言葉だけで否定の意思を伝えた。
「嫌ってお前…」
「直哉は私のものなんだから、大人しくこのまま私に抱かれなさい」
脅し文句というよりは殺し文句。
様々な流行が訪れては消えていく時代において、美月は髪も染めず、肌も焼かず、装飾品も身に付けようとしない。
見た目は完璧なのに、ただ一点、琴線に触れる場所だけがよく分からない。
「ハッ、純情少年なめんなよ。俺の体はお前にやるほど安くねーんだよ」
「……」
「うおっ!?」
いきなり黙った美月は唐突に立ち上がる。
清潔な白いシャツとその隙間から覗くキャミソールとパンツだけの姿を惜し気もなく晒した美月は、そのまま俺の上に馬乗りの体勢で腰を下ろした。
臍の下に淫靡な温もりと女性一人分の重みが掛かる。
「降・り・ろ」
「イ・ヤ・よ」
最初のコメントを投稿しよう!