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―――美しい。
俺は一切の言葉を差し挟むことなく、ただ、純粋にそう感じた。
「直哉ぁ」
「―――おまっ!?」
普段の美月らしくない甘えた猫なで声に、不覚にも熱が頬に集まっていく。
同時に、美月は言葉だけではなく、赤く染まった頬を俺の首もとに擦り付けた。
「私のものになりなさい。そうすれば、いつでもこうして私を食べさせてあげる」
「―――っ!?」
甘い痛みの果てに、俺の肩には薄く美月の歯形が並んだ。
「…どっちかっつーと、俺の方がお前に食われてる気がするんだが?」
「今は、ね」
妖艶に微笑む美月の姿は、およそ十代の小娘に出せるような色気ではない。
背中に回された指が這い回り、首もとから聴こえる淫艶な水の音と共に快楽へと誘っていく。
「直哉が私を食べるのは―――これからよ」
腹の上で身を起こした美月は、ついに最後の衣服を脱ぎ捨てた。
既に十分な水分を含んだ『ソレ』は、ベッドの脇へ真っ直ぐ落ちた。
「ねぇ、直哉」
「…な、んだ……」
今まで見てきた中で最も妖しく黒い瞳が輝いた。
何処かから唾を飲み込む音が聞こえる。
これはもう無理だ。諦めるしかない。
どの道、手錠に繋がれたままでは抵抗なんざ出来やしない。
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