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こんなものを見せて本気で感想を求めてくる辺り、本当にコイツは底が知れない馬鹿である。
「何処!?何処がダメだった!?今回は割と自信作だったんだ!?」
「いや、何処っつーか……」
「よく見てくれ!この辺の描写とか結構頑張ったんだ!」
「よく見てくれとか言われてもな……」
「ほら!この辺なんて凄くいい出来映えだと思わない!?」
「いや、問題はそんなとこじゃなくて―――」
「くそっ、次の漫研の雑誌に載せようと思ってたのに…っ!?」
「―――っんなのにこんなの載せんじゃねー!?」
思わず殴りたくなる衝動をなんとか抑える。
仮に殴ったとしても、このクラスにいる強者たちなら特に誰も気にしないだろうが、一応最後の良心に従い拳を開く。
暴力はよくない。たとえ相手が底なしの馬鹿だとしても言葉で解決できるならそれに越したことはない。
「あ、でもあまりの出来映えに思わず先輩に写メ送っちゃったんだった」
「アホかーっ!!?」
「ぐほあっ!?」
「あー…」
振り上げた拳が行き場を失い宙を迷う。
俺が殴るよりも先に馬鹿は教室の床へと沈んだ。
実は現在、この場には三人の人間がいる。
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