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一人は俺、河村直哉。
一人は殴られた馬鹿、吉田圭吾。
そして最後の一人が正に今、圭吾を殴り飛ばした女、丸山綾音。
特に丸山はその可愛らしい名前の割にカラッとした男前な性格をしている。
だからこそ、今、こうして圭吾が床に沈んだわけなんだが。
「実在の人間使って何やってんのよ!この馬鹿!!」
「面白そうで、つい」
「つい、じゃないわよ!なんでよりにもよってこの二人を使うかなぁっ、アンタは!?」
そう言って振り返った丸山の視線の先には一人静かに『パソコン』を操る美月―――櫻井美月がいた。
ちなみに直哉たち三人がいることからも分かる通り、ここはコンピューター室ではない。ただの普通の教室である。
「今日も今日とて忙しそうだな、櫻井さん」
「美月ちゃんはいつもあんな感じでしょ」
「ま、確かに一風変わった様ではあるけどね」
昼休みに一人、教室でパソコンに向かう彼女は明らかに周囲から浮いている。
本来、彼女ほどの美人なら周囲の男子が放ってはおかない。
実際、この入学してからの数ヶ月で何度か告白されたという話は男女を問わず誰もが知っている。
そして、彼女が告白全てを断ったという話もまた有名な話だ。
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