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「よくやるわよね、あの子も」
「ん?」
足を組み、机に肘を乗せた丸山が珍しく感心していた。
「どういうこと、綾音ちゃん?」
「簡単なことよ。とにかく群れたがる女子たちの中、あんなに堂々と一人でいられるなんて並みのことじゃないってこと」
面倒なしがらみだと思うことはあっても、なかなか抜け出せないのが女の世界。
それは少女であっても女性であっても変わらない。
「女が一人でいるっていうのはアンタたちが考えるよりもパワーがいるのよ」
「そんなもんか」
「そんなもんよ」
面倒だけどね、とため息をもらす丸山にも、過去には何かあったのかもしれない。
他のクラスメイトたちと比べても、丸山は櫻井とはまた違った意味で浮いていた。
「少し見た目がいいと『可愛いからって調子に乗ってる』とか、少し頭がいいと『あの子って心の中では私たちを見下してる』とか、少し男子と仲良くなると『あの子って遊んでるって噂だよ』とか、もう女の嫉妬ってホント醜いわよ」
「…実も蓋もないな」
「男がロマンチストって納得だわ。いつまでたっても女子に夢を見ているんだもの」
言葉が進むにつれて丸山の機嫌は悪くなっていく。
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