散歩

4/7
前へ
/7ページ
次へ
さて、残念ながら時間は無限にあれど、私の高校入学式の朝は有限だ。今の私に必要とされるのは、決断力と覚悟である。 朝散歩を続けるか否か。辞める覚悟、続けていく覚悟が有るか無いか。 どうでもいい様で、私自身にとってはとても重要な決断だった。考える時間が欲しい。しかし、無情に進んでいく時の流れに逆らう術など存在しない。ならば腹を括るしかない。 今まで続けて来たこの朝散歩を、小学生の頃からの思い出が詰まった朝散歩を、私は・・・私は、これからも続けよう! 辞めて後悔するくらいなら、続けて後悔しよう。そうだ!そんな簡単な事にどうして気付けなかったんだろう! 「朝散歩に行こう。」自分へと言い聞かせる様に呟き、すぐに仕度を開始する。顔を洗い、歯を磨いて今日から通う高校の制服を着る。 「うん、準備完了。何と言うか、まだ高校の制服にはなれないけど、それは仕方ないかな。・・・そうだ!折角だし、高校まで行ってみよう。」私の家から高校まで、歩いて20分も掛からないし、普段の散歩コースとは違うけど、違うからこそ新しい発見があるかもしれない。そう考えると不思議とワクワクしてくる。 「よし!行ってきます!」胸の前で、両手で小さくガッツポーズをし、私は朝の町へと繰り出す。 出掛け際に見た時計は、調度午前5時00分00秒だった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加