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馬鹿げているなと思いつつ、私は更に自問自答を続ける。この不気味なもやもやの理由はなんなのだろう。どうして・・・
そもそも、学者の娘でなければ、総理大臣の娘でもない私の思考を操作する事にメリットなどあるはずない。ただたんに、私の勝手な妄想だという可能性が高いのだ。てか、99%そうだろう。
けれどもし、もしも1%でも私の妄想が本当だという可能性があったら、それはとんでもなく無価値で、気持ちの悪い事だ。自分の人格さえも否定された気がする。
「でも、もしそうなら私を育ててくれたおじいちゃんを疑う事になっちゃうんだよね。そんなの嫌だな。」そうなるのは必然だけれど、もしそうなら私は立ち直れないだろう。
両親を知らなくても悲しくないのは本当だが、それは祖父が居てくれたからである。時に厳しく、だけど本当に優しい祖父がいたからこそ、私は元気に今まで過ごせた。嘘偽りない真実である。
それが崩れてしまったら・・・
「はっ、いけない。」思わず膝を抱えてしゃがみ込みそうになり、慌てて立ち直す。もうこれ以上考えるのは精神が持ちそうにない。
それに、かれこれ15分近く家の前に立ち尽くしているだろう。流石にもう考える時間はない。もやもやはするが、我慢して朝散歩を再開する事にしよう。
こんな気持ちの切り替えも、私の意思ではないのかもしれないけれど・・・
「て、駄目だ駄目だ。」自分の頬を両手で叩いて気合いをいれた。とにかく今は散歩に集中しよう。
私は歩き出した。いつもより少し歩くペースは早くなってしまうが、この際それは仕方ない。と言うか、自業自得である。
ため息を付きながら、私は何時もよりも少々早いペースで高校を目指して歩いていく。何時もと違う散歩道に若干戸惑いつつ、交差点を右へ曲がり校門へと続く直線道路に入った。
その時だ。私の横を一匹の猫が通った。
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