1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんと、人が多いですね」
「それだけここが人気なんですよ…っとぉ、もうこんな時間ですか…」
男はズボンから取り出した懐中時計を見て、慌てて帽子とコートを羽織った
「用事、ですか?」
「ちょっと人と会う約束をしていまして…」
残念だ、折角会えたのに
私は名残惜しくて紙に名前を書き
「私、この店の店長なんです。今度いらした時は是非お話しましょ?」
と言って彼の手に紙を握らせた
「おや、店長さんでしたか…是非また来ますね…今日はありがとう」
「こちらこそ」
軽く会釈をし、彼は行ってしまった
「…また日課が増えたな」
私は誰も座っていない目の前の椅子に小さく語りかけた
最初のコメントを投稿しよう!