すこしだけ

9/23
前へ
/23ページ
次へ
眩しい いつの間にか朝になっていた 朝日が眩しい 電柱に止まっているスズメがチュンチュンと鳴いている そんなスズメを春樹は見ていた 「あれは、食べたらダメだよ」 私は春樹の頭を優しく撫でながらそう言った まだ眠い だけど、二度寝は良くないので 顔を洗って目を覚ます 蛇口をひねって 流れ出す水をパシャッと顔にかける 思いのほか冷たくて、一気に目が覚めた 顔を洗い終わり、鏡を見ると 鏡ごしに、春樹が見えた まだスズメを見ている 動物に表情はないらしいが 春樹からは、少し悲しいような感じがした 外が羨ましいのかな それとも、空へ飛びたいのかな 私にはわからない それでも、慰めてやろうと思って 喉を撫でてあげた
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加