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十分後、彼女がトレイにコーヒーを乗せ、みんなに配り始めた。
「葉月さん、すみませんでした」
「溢すなよ」
彼女は泣き腫らした目で、コーヒーを俺のデスクに置く。
どうせ高校生の煎れたコーヒーだ。薄いか濃いかどちらかに決まってる。俺はカップを手に取り、コーヒーを口に含む。
あれ…?
うまい…。
「美味しいなぁ、野田さん。コーヒー煎れるの上手いな」
部長が彼女を褒め、みんなも口々に彼女を褒めた。
確かに、彼女の煎れたコーヒーは美味い。けど、それは仕事とは何ら関係ない。
会議資料を破棄された俺は、彼女のせいで昼飯を食う時間すらないんだ。
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