第 1 章  存在

2/16
前へ
/313ページ
次へ
彼らは存在していた。 彼らは まるで突然我々の前に現れたかの様であったが、実はかなり 太古よりこの世界に存在していた。 人間が神や大地の不可思議な力を崇め、信じていた時代には、影の様に 日々 我々の日常生活に共存していた彼らだが、科学文明が発展し、目に 見えるもの、いわば科学的に証明出来得るもの以外を人間達が信じない 時代が訪れた時、殆どの者達は人間界から姿を消した。 それらは 太古の伝説や 御伽噺とされ、人々に忘れ去られていった。 しかしある時を境に、彼らが人間界に姿を現し、その不可思議な力を誇示 しだした。 地球が病んでしまってからだ。 大気は澱み、緑も枯れ、砂漠が増え、海も濁り・・・そう、地球は死に掛けて いた・・・。 やがて世界が二分されてから、自然が少しずつ回復し、再び足を踏み入れ た人間が見た世界は、科学力が全く通じない不可思議な世界が広がって いたのである。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加