序説

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ずるずると秋に引きずられるように 居酒屋に入る。 皆それぞれメニューを開いてお酒を選んでいる。 私も観念してメニューを開く。 無理やり連れてこられたとは言えお酒なんて久しぶりに飲む。 迷った挙句グレープフルーツサワーを注文した。 2時間後・・・。 私とタツヤ先輩以外は 皆泥酔状態だった。 「くるみは強いな・・・。」 「タツヤ先輩のほうが強いです。」 タツヤが酔っているところは見たことがない。 「なぁ、白い小説って知ってるか?」 唐突にそんなことを言い出した。 さすがに酔っているのかなと思ったけれど、 タツヤは何か考えている時ピアスを触るクセがある。 今もピアスに触れているから、何か考えているみたいだ。 私は首を横に振った。 タツヤはピアスに触れたまま話始めた。 白い小説とは 読んだら呪われる小説のことだそうだ。 その小説を読んでしまったら不幸になるとか。 情報はたったそれだけ。 私には不幸の手紙から進化していないように思える。
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