序説

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「その小説探そうと思ってる」 タツヤはピアスに触れる手を下ろすと こちらに視線を移し言った。 「どうしてですか?」 私の質問には フッと口元に笑みをうかべただけで答えては くれなかった。 妙だな・・・。 タツヤの趣味は確かに変わっているが、こんな 信憑性のないうわさを信じるなんてちょっと違和感がある。 それとも何かあるのかな。 「ただの遊びだよ」 私の思考を読み取ったようにタツヤが言う。 その後また ピアスに軽く触れながらタツヤは白い小説について 説明を始めた。 白い小説・・・・。 別名呪いの小説。 これがいつからこの大学で語られるようになったかは不明。 あまりにも強い呪いのせいで死者・行方不明者が後を絶たなかったため 宗教塔のどこかに封印の呪符がされ、隠されている。 ある一定の条件を満たす者のみが見つけることができる。
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