序説

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「諒はさぼりだな・・・。」 またか、と少しあきれた表情でタツヤは言う。 このサークルは諒と言う人を合わせて5人。 そこにプラス私。 気づくと秋は 私を紹介しようとしているのか すでに隣に立っていた。 「この子が沖田 未来<おきた くるみ> 占術学科1年生」 ちなみに、と秋は人差し指をピンと 立てて口元へ持ってくると またあの口端だけを吊り上げた 笑顔を作り、説明を続ける 「基本的に営業用のスマイルが得意で ほとんどはこれです。内面は結構 ドライだったりします」 と最初から私の正体をばらしてしまったので もう笑ってなくても良いか......と顔をもとに戻す。 この日は皆と少し雑談して解散となった。 この時、私は何だか嫌な予感がしていた。 この後にまさかあんなことが起こるなんて......。 タツヤと秋が手を繋いで 仲良く帰宅していくのを 見送りながら私は大学の屋上に行った。 この宗科塔は学科生以外立ち入り禁止。 たとえ、この大学の学生であっても 学科が違うと入れない。 入り口で身分証を機械に通さないと 入れないようになっている。 宗科塔の学生は滅多に行屋上に来ないので ほとんど私の場所。 ここで一息つくのが私の日課となっている。 ここからの風景は夜になると町のネオンがきらきら輝いて 花火のように見える。 私はこの風景をとても きれいだと思う。
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