序説

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次の日。 私は放課後バイトに来ていた。 私たち占術学科の学生はまず「泉館」と言うところで バイトをする。 大学が駅の一角にある体育館を 借り切っていてそこで皆が経験をつむために格安で占いをするのだ。 私はいつも一番奥の場所を使う。一席ずつ仕切りはしてあるので どこにいても一緒だけれど。 「すいません。」 座ってまもなく声がした。 お客さんだ。若いな。16歳くらい? 「いらっしゃいませ」 私は満面の笑みを浮べながら言った。 タロット、姓名判断、手相のなかから 彼女は手相をみて欲しいといった。 具体的な婚期が知りたいのだそうだ。 幼さが残る笑顔で期待に満ちたまなざしをむけてくる。 可愛いな。
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