序説

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そんなことを考えながら私は両手を出してもらった。 結婚線は小指の下から感情線の間にある線を見るのだが この子はちょうど真ん中に一本濃く長い線がある。 「そうですね。婚期は25歳前後でしょうか」 満面の笑みを浮べたまま答えると 彼女もまたにっこりと笑みを浮べた。 「ありがとう。結婚できるなら良かった」 満足したのかそれだけを聞くと料金を払って さっさと帰ってしまった。 「ありがとうございました。またどうぞ」 彼女の背中に向かって私は言った。 「こんにちは」 声のするほうに満面の笑みを浮べたまま振向くと 唯斗が立っていた。
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