二章『壁と壁の無数猫』

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二章『壁と壁の無数猫』

こんな夢を見た。  ワンルームの部屋の壁からカリカリと音がする。 それは断続的で、だが激しいものだ。  隣の部屋の住人が何かしているのだろうか?    不思議だとは思うが、何か面倒くさいので放っておくことにした。     だが、玄関の扉が開き、隣に住むという青年がやってきた。  彼は青いTシャツに灰色のカーゴパンツを履き、いつも部屋をカリカリひっかいているが何をしているのかと訪ねてくる。  私はそんなことはしていない、むしろ君の方がそれをやっていると思っていたと答えると、青年は気味悪そうな表情になって戸惑うようにえっ? と言った。  私もその状況に対して何も言うことができず生唾を飲み込んでただただ黙っている。  だが放っておいた事態が実は謎につつまれていたことに気づいてしまった。 謎のままで済ますことはできないと判断した私は青年の部屋を見せてくれるかと問いかける。 すると青年もやはり私と同じ気持ちだったのだろう。 分かりましたと答え部屋を見せてくれた。    青年の部屋は若者らしくなかなか雑然としていた。   件の壁側は本棚になっており、なるほど確かに彼の方から何かしているということはなさそうだ。
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