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その国には、体内にある『魔力』を使い万物を自在に操り、時を渡る術を持った女がいたという。
人々そんな力を持った女を異端視し忌み嫌い、恐れた。国王も例外ではなくその女を恐れ、ついには処刑してしまった。
女を火炙りにし、その亡骸を曝し物にしたのだ。
このことは歴史書にも刻まれている。
たが、不思議なことに、誰もがその存在を知っているというのにも関わらず、彼女の出実経歴はおろか、名前さえ語られてはいなかった。
記されもしていない。
そのうちに、彼女の存在を知るものは減り、ついには誰もいなくなってしまった。
彼らを除いては。
つまりは、いっさいが謎に包まれていた。
ただ、『魔女』の存在だけはしっかりと人々の記憶に刻み込まれていた。
その後、その国ではその女のような魔力を持ち術を扱う女のことを――――――――――――
『魔女』と呼んでいる。
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