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1999年4月
児童養護施設
18歳までの親のいない子達が集まる所だ。
この日1人の男の子が新しく施設に入った。
今日から新しい友達が増えます!皆仲良くする様にね!
先生の紹介の後も何も言わず黙って下を向いてる。
シン
9歳
彼は去年、父親が母を殴り殺した。
元々酒癖が悪く酔ってはいつも母やシンに暴力をふるっていた。
父親は警察へ捕まりその後、親戚の家をたらい回しにされる。
母方のおじいちゃん、おばあちゃんの家に行くもお前は父親の血を引いている、いつかお前も人殺しになるんだ、とひどいいじめにあっていた。
シンの様子を見た学校側が家庭内暴力を知り学校側の説得で今年度から施設に入る事になった。
シン君!皆お外でボールで遊んでるからシン君もいこっか!
先生の問いかけにもシンは無言のままだ。
行かないの?
シンが軽く頷く
施設に来て一週間
まだ口を開いていない。
それから2週間後。
まだ口を開かないシン
この日は地元出身のアーティストがボランティアで演奏をしに来てくれる日だった。
椅子に座った児童達の正面に演芸会用の簡易的なステージが設けられてた。
夕方機材が運び込まれる。
ボランティアといっても準備はいつものスタッフが行う。
流れる様な作業にシンは少し驚いていた。
ステージに機材が運び込まれると簡単な照明までできてある。
凄い贅沢だ。
しばらくしてアーティスト達が入場。
手拍子で迎える。
シンの目の前にはギターを持った背の高く髪の長い人。
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