幸福論シングルver.

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この前までは全く感じなかったのにね。 「行ってきます」 「またね」 此方へ顔を向けられる事なく私は家を出た。 更衣室を開けると先客が一人――同期のアサミ。 「あんたよくそれで幸せオーラ出せるわね」 アサミはそう言うけど、私は全く気にも止めない。 「ん。平気。好きって知ってるから」 「あーノロケ要らない」 「聞かなきゃ良いのに」 制服に身を包んで鏡の前で笑顔のチェック――何時も思い浮かべて微笑むのは貴方ばかり。 「でもまさかこうなるなんて思わなかった」 「――随分不安定だったよね」 あの時の事は今でも恥ずかしくて苦笑してしまう。 「あんた、探してたもんね」
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