第一章

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そしてその勢いのまま会社を飛び出した私はキョロキョロと辺りを見渡して、右手を挙げてタクシーを一台捕まえる。 自動で開いたドアから滑り込むように中に乗り込んで一言、簡潔に行き先を述べる。 動き出したタクシーの窓にこてんと頭を預けて外の風景を眺める。タクシーの動きと共に移り変わって行くネオンが煌めく夜の街の風景。 あぁ、眩しいなぁ。 不意にバッグから小さな振動を感じて、バッグの中からその振動の原因であろう二つ折りの携帯を取り出す。 今のご時世、スマホが主流なのかもしれないけど機械音痴の私には絶対ムリ。 私が使ったら絶対壊す。 それにこの携帯には、大事な思い出がたくさん、詰まってるんだから。 (メール……?) 一体誰からだろう?
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