第一章

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『今度また誘ってくれると嬉しいなー』 「ふん、だ!! もう二度と弥琴なんて誘ってやんなーい。」 『とか言って毎回誘ってくれるよね』 「…黙秘権を行使します。」 『何ソレ』 他人に比べれば、比較的“良い道”を歩いてると思う。 事実、人からよく羨望の眼差しを受ける事は少なくない。 「弥琴ちゃんは良いね」「羨ましいな」 何回その言葉を耳にしたことか。知りもしないくせに。 わかってもいないくせに。 自分のデスクでただひたすらにパソコンの液晶画面を見つめて。 カタカタとキーを打つ音がやけにだだっ広い職場に響く。 まだ業務時間なのに後数分で終業時間だからなのか、浮ついた空気が漂っている。 皆もうちょっとで終業時間だからって仕事サボり過ぎ。 …まぁ、私も早く仕事終わらないか、その事ばっか考えてるんだけど。 ちらりと手元の腕時計の文字盤に目線を遣って、またパソコンに戻す。 早く、終われ。
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