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「ぼく……ヴァンパ……」
「分かった。分かったから……、信じてあげない私が悪かったわ」
クルフは、リリーの服に顔を埋める。ゆっくりとクルフの頭をなでると、クルフはびくっと身体を緊張させた。
「私はキミをいじめないわよ。売らないし、もう、嘘つきって言わない」
クルフが小さく頷くのを確認すると、リリーは抱え上げた。
「司教とかに文句を言いに行きましょ……明日」
「あ……した……?」
リリーは微笑んで、「そうよ」と答えた。
「教会も閉まってるし、今日は落ち着きたいでしょ? ホテルは敵なんて来ないから。あの養父にも私が話すわ」
クルフはリリーから少し離れる。リリーは首を傾げた。
「助けてくれたからって信用したわけじゃないから。微笑んで近付いてぼくをどうするの?」
リリーは引きつった笑顔を見せる。この子はやっぱり可愛くない。
「そのワンピース、ボロボロにしてるけど、1500ユーロするの。その分くらいは償いなさい」
「は?」
クルフは目を丸くして言う。
「こんなのおばさんが勝手に……!」
リリーは微笑んでクルフの頬をつねる。クルフは手を振り回して暴れた。
「は? もおばさんも言うなって言ったでしょ?」
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