Scene.01 マイグレックヒェン

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「とりあえず、私の泊まっているホテルに来なさい。あの人とは違うところだから」  リリーはそう言うと、鞄から携帯電話を取り出した。 「私よ、今から子供を連れて行くけど、傷だらけなの。身長は約4フィート。体重は……3ストーンも無い位。服を用意しておいて。男の子よ」 「ぷっ」  クルフが笑うので、電話を切った後リリーはにらみつけた。 「何? 体重がストーンって。ぼくの体重は16キロだよ。身長は120センチ」 「痩せすぎ。子供はちょっと丸いくらいが可愛いわよ」  リリーはそっぽを向くとクルフを抱え上げた。クルフはじたばたと暴れるが、すたすたと歩き出した。 「司教の奴……嘘つき」  クルフは忌ま忌ましそうに呟き、教会を一瞥する。その言葉にリリーはぞっとするものを感じた。 「ねぇ、あの人は父親なんでしょ? 何で逃げるの?」 「父親……ねぇ。養父だけど。あいつはぼくをヴァチカンに売り飛ばしに来たんだ。そんなところに売られるなんて、地獄だよ」  ヴァチカン……法王の居る世界最小の国。キリスト教の最高峰のはずだ。
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