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「うるさいな。お前らも今日仕事だろ。何でまだ居んだよ。さっさと仕事行け」
いつもなら既に二人とも仕事に出掛けている時間だから誰も居ないと思っていたのに。
くそ……これも全部奴らのせいだ……
あの後、馬鹿男共のせいで遅刻が決定されたため、面倒くさくなって家でゆっくりしようと帰ってきたのだ。
「残念ね。私は今日午後出勤なの」
響が小馬鹿にする笑みを浮かべてクスリと笑う。
その反応と予定外の展開に苛立ちが増した。
「じゃぁ兄貴はなんで居るんだよ」
あれも本来ならもう出掛けているはずだ。
鈴斗がイライラとしながら、荒々しく背後の鐘を指差せば、響が腐ったものを見るごとく顔を歪めてそれを見下ろした。
「ほっときなさい、フリーターさえまともにできないあんなゴミクズ」
絶対零度の瞳でそう吐き捨てた響に対して、言葉を返す勇気は鈴斗にはない。
--…あいつ、またクビになったのかよ。
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