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「何を勝手なこと……っ」
ふざけるなよ。と睨み付ければ、如月はわざとらしく肩をすくめて橘に視線を移した。
「おい、悠樹。お前、今朝こいつに何て言ったかもう一度言ってみろ。いくら煩悩まみれのお前の脳ミソでも今朝のことくらいは覚えてんだろ」
「……舜。いちいち小馬鹿にしてくんの止めろ」
あからさまに揶揄する如月の言葉に橘が眉間に皺をよせ睨み付ける。
「小馬鹿にしてるんじゃなくて馬鹿にしてんだよ。いいからさっさと言え」
「――てめぇ…………」
あとで覚えてろよ、と如月に低く呟き舌を打った橘が、数歩こちらへ歩み寄ってきた。
そしてその視線を俺に定めると、彼は先程までの不機嫌さを潜め、ニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「鈴斗、今朝と同じことをもう一回言ってやる。よく聞けよ」
うるせぇ、変態。気安く呼び捨てにすんな。
橘の言葉に顔を盛大にしかめた俺の内心の罵倒に気付いているのか、いないのか。
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