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「例えその屁理屈がまかり通ったとして、そもそもお前らはとっくに勝負に負けただろっ!」
橘を指さして叫ぶ。
如月がジロッと橘に視線をやり、橘はわざとらしくそれから顔をそむけた。
「もう決着がついて勝負は終わってんだから、今更勝ちもなにもねぇよ!」
そんな二人の様子に、とどめとばかりに言い放つ。
如月は橘から視線をこちらに戻し、大きくため息をついた。
「……だ、そうだ。どうする、二人がかりでも負けた負け犬さん?」
しかもお前がヘマして負けたらしいじゃないか、情けない。
「うるせぇっ!お前は黙ってろ!」
此れ見よがしに大きくため息をつく如月に橘が低く唸る。
そして橘はンン、と一つ咳をして、気をとりなおしたように余裕綽々な笑みを浮かべて俺に視線を定めた。
――……まさか今までのあの余裕は全部見かけ倒しなのか。
内心呆れながら、冷ややかに橘を見る。
その視線にもめげず、橘は腹がたつほどのドヤ顔で口を開いた。
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