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「確かに今朝、俺が白旗をあげて俺達は一回勝負に負けた。だが“勝負”がそれで終わりだなんて言ってないだろう?勝負は一回きりだなんて決めちゃぁいない。なにより、俺達はあれで“諦めた”とは一言も言ってないぞ」
お前を諦めたりするものか。
橘が格好つけるようにキザったらしくほざく。
しかしその内容は屁理屈以外の何物でもなかった。
「ふざけんな」
誰がそんな屁理屈を飲むか。
そう短く吐き捨てて睨み付ける。
「屁理屈だろうがなんだろうが、お前との勝負に勝てるなら使えるものは使うぞ」
橘がニィッと口端をひきあげ、目を細める。
……っ――……!!
逃がさない、と訴える橘の視線に危機感を覚え、視線をそらす。
しかしその先の同じ目をした如月と視線が合い、ニッと笑みを向けるその手にヒラヒラと握られているのは、俺の弱味。
「……このっ……くされ外道野郎……!!」
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