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「遅かったな、拓也」
「まぁね、悠樹が仕事を全部放り投げて走っていったから、片付けてからきたんだ」
足を下ろした水城は如月に言葉を返してから、ゆっくりと俺に振り返った。
「やぁ、朝ぶりだね。まさか今のを片手で防ぐなんて驚いたよ」
余裕の浮かぶ表情で笑いかける水城の言葉に舌を打つ。
わざとらしい賛辞。本気じゃなかったくせに嫌味なやつだ。
「ただ避けてやるだけでも良かったんだがな、そうなると今頃橘は顔面と床を仲良く張り付けてただろうよ」
俺の言葉に橘がハッとした表情で水城を振り返り睨み付ける。
如月が、それはそれで面白いな、と小さく呟いたのが聞こえた。
それを橘が聞き逃さずに勢いよく如月を睨み付けるのと同時に、如月が笑って口を開く。
「随分とお人好しだな?宮澤くん」
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