主人公鉄則5「お人好し」

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まず第一に水城の発言の意図が全くもってわからない。 「なんで急に鬼ごっこっ!?」 思わず叫ぶようにつっこむ。 「え……?」 それにいち早く反応を示したのは件の発言者である水城だ。 水城は困惑を露にした表情でこちらに視線を送る。 その顔はまさに、先程まで俺が奴らに向けていたものと同じ、哀れむような(ただし馬鹿にした)表情だった。 その後ろでは橘が同じ表情をしてこちらを見ている。 いや、なに『え、こいつ何言ってんの?』みたいな雰囲気醸し出してんだよ! 俺おかしくないからな、おかしいのはお前らだからな? 混乱する脳内を必死に抑えこむ俺に、橘がさも言い辛いと言わんばかりに申し訳なさそうに口を開いた。 「鈴(りん)ちゃんって意外と馬鹿なのか?今ので会話で意思が通じないなんて……」 ふ ざ け ん な ! 「馬鹿はてめぇらだこの馬鹿共が!なんなんだてめぇら!キチガイか?キチガイなのか!!」 俺はとうとうぶちギレた。 自分のペースを乱すに乱された俺はもはや冷静さを失っていた。 そうだ、ここで冷静さを取り戻していたなら、あんな馬鹿な状況には陥らなかっただろう。 そのことを俺は後々に酷く後悔することになるのだが、今の俺にはそれを知る由もなかった。
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