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まず第一に水城の発言の意図が全くもってわからない。
「なんで急に鬼ごっこっ!?」
思わず叫ぶようにつっこむ。
「え……?」
それにいち早く反応を示したのは件の発言者である水城だ。
水城は困惑を露にした表情でこちらに視線を送る。
その顔はまさに、先程まで俺が奴らに向けていたものと同じ、哀れむような(ただし馬鹿にした)表情だった。
その後ろでは橘が同じ表情をしてこちらを見ている。
いや、なに『え、こいつ何言ってんの?』みたいな雰囲気醸し出してんだよ!
俺おかしくないからな、おかしいのはお前らだからな?
混乱する脳内を必死に抑えこむ俺に、橘がさも言い辛いと言わんばかりに申し訳なさそうに口を開いた。
「鈴(りん)ちゃんって意外と馬鹿なのか?今ので会話で意思が通じないなんて……」
ふ ざ け ん な !
「馬鹿はてめぇらだこの馬鹿共が!なんなんだてめぇら!キチガイか?キチガイなのか!!」
俺はとうとうぶちギレた。
自分のペースを乱すに乱された俺はもはや冷静さを失っていた。
そうだ、ここで冷静さを取り戻していたなら、あんな馬鹿な状況には陥らなかっただろう。
そのことを俺は後々に酷く後悔することになるのだが、今の俺にはそれを知る由もなかった。
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